お腹が張ってくるしい。頻繁にオナラがしたくなって出先で困る。
そのうちなんだか肌荒れもしてきて、いきんで便を出そうとしたらオシリが切れてしまった…
便秘による害は実に様々で、誰しも悩んだり苦しんだりした事があると思います。
便秘になる事はめずらしい事ではありません。しかし、「よくある事だから」と根本改善せずにその場しのぎの対応や、正しい対処をせずに放っておくと、お腹には結びつかないような体の不調を引き起こし、最悪の場合取り返しのつかない事態になる事もあります。実際、1998年には便秘による腸閉塞で女性が亡くなったケースもあるのです。
頑固な便秘で色々な対策を取っても改善されず、自分は何をやっても便秘が改善されない体質なのだと諦めてはいませんか?
しかし実は、多くの方は皆が知っている”一般的な腸の便秘”へのアプローチしかしていません。頑固な便秘の裏側には知られざる”もう一つの便秘”が隠れていたのです。
今回は、海外からの患者も多数訪れ、約10万人を診てきた佐々木みのり医師の書籍を通して、しぶとい便秘の真相についてお話していきます。
あなたの便秘の定義は合っていますか?
あなたは「便秘」と聞くと、どのような状態を思い浮かべますか?
恐らくほとんどの人は「何日間も排便がない状態」だと答えると思います。
しかし実際は、毎日排便していても便秘になっている可能性が大いにあります。
便秘は「便を秘める」と書くように、毎日出ていてもどこかに残ってしまっていたら、それも立派な便秘なのです。
そのため、自分は便通が良い!と思い込んでいる人も、診察してみた結果、隠れ便秘が発覚する事は珍しい事ではないそうです。
そしてその人達は必ず「どうして私が!?」と衝撃を受けるのだそうです。
逆に、少食な人や、消化吸収に時間がかかる人、腸が長い人が2日に1回しか排便が無くても、その1回の排便でスッキリ便を出し切れていればそれは便秘ではありません。
大切なのは、毎日出ているかどうか、ではなく、スッキリ出ているかどうか、なのです。
正反対のようで繋がっている、下痢と便秘の関係性
毎日排便があっても便秘の可能性がある事は先程お伝えしましたが、下痢はどうでしょうか。下痢になるほど便が緩いのだから、便秘とは無縁な気がしますよね。
しかし、実は下痢でも便秘の可能性があります。
腸はとても賢いので、どこかに出残った便があったり、通りが悪かったりするとそれを感知し、自己調節機能が働きます。出残った便、つまり便秘を解消させるために、頑張って過剰に働いてしまい、下痢っぽくなってしまうのです。
私も便秘と下痢をよく繰り返し、なぜこんなに両極端なのだろうと悩んでいましたが、これは腸の正常な反応だったのです。
では、下剤で緩くなった便は?実はこれも、便秘が100%解消したとは言い切れません。腸の便秘に効く下剤を飲み緩くなった便が、出残って硬くなった便の塊をすり抜けて出てきているだけの可能性があるからです。
もう一つの隠された便秘には、腸の下剤の効き目は期待できないのです。
便秘になると全身に有害物質が流れる!
そもそも出しきらない事がなぜそんなに問題なのでしょうか。お腹が苦しくなければそれでいいのでは?と思ってしまいますよね。
便秘になると肌荒れする。これは有名な話です。ではなぜ腸で起きている問題が肌にまで影響を及ぼすのでしょう。
それは、胃で分解された食べ物が小腸へ送られ、小腸は身体に必要な栄養成分を吸収します。その後、吸収が終わった残りカスが大腸へ送られます。残りカス、つまり便が排出されず腸にとどまると、腐敗して有害物質が発生します。長時間便が腸の中に溜まったままでいると、その便に含まれる有害物質が再び腸で吸収されてしまうのです。
有害物質の中には、皮膚の形成に悪影響を及ぼすフェノール類も含まれ、その成分が血流に乗って全身に回った結果、肌荒れが起こってしまいます。
つまり、あなたの体中に便の成分が巡っているのです。
たとえお腹が苦しくなくても、不要な物はスッキリ出してしまわなければいけません。
免疫の70%が集まっている腸に腐敗した物が詰まり腸内環境が悪化すれば、悪玉菌が増えて善玉菌が持つ免疫作用を阻害するため、風邪やインフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなります。
更に腸と脳には特別な関係があり、便秘で腸内環境が乱れると自律神経を乱してしまうケースもあります。
※自律神経と腸の関係について詳しく知りたい方はこちら↓
自律神経のみだれによる心身の不調、実は「不腸」が原因かも!?
たかが便秘と思っていると、その被害は全身に及ぶ可能性が大いにあります。
便秘になるということは、それだけ不健康になるリスクがあるということです。
スッキリ排便するために必要な3つの力
私達は排便をする際、なんとなく便意を感じて、なんとなくトイレへ入っている気がしますが、実は体の様々な働きや反射の力を無意識に使っています。
佐々木医師は、健康的な排便をする際に必要な力を大きく3つに分けています。
1便の有無が分かる(便感知力)
まずは腸内に便があるかどうか感知する必要があります。しかし便秘の人は、腸に大量の便があるにも関わらず、それに気付かない、つまり感じていない方が多くいるそうです。これは便を溜めすぎて感覚が麻痺してしまっているために起こります。降りてきた便を感じなければ出そうとする運動も起こらないので、排便行動に繋がりません。
2便意がある(共腸力)
スッキリ排泄できている人は、便が腸内にある事を感知すると、蠕動運動が起こり、便を押し出す協力をしてくれます。
※蠕動運動とは…腸が収縮・弛緩(伸びたり縮んだり)をくり返して腸内を移動させ、体外へ排出する動き
ここで説明している力で書き直すと、便がある事を感知した事(便感知力)により、便意(共腸力)が働くという流れです。
この力を借りると便をスッキリ出すことができるのですが、便の感知ができなければそもそも蠕動運動は起こってくれません。
3便を出せる(排出力)
最後に便の排出です。蠕動運動により便が降りてくると、直腸が更に動いて便を押し出し、同時に肛門の筋肉は緩みます。これらの一連の動きを「排便反射」と呼びます。
排便する際、力を入れていきみすぎる方がいますが、これはかえって逆効果です。いきみすぎると肛門がうっ血して腫れてしまったり、力の入れすぎで肛門の穴がしまってしまい便がかえって出にくくなる事もあります。
排便反射プラスいきむ、この2つの共同作業によりスッキリ排便できるのです。
これらのうちどれか1つが欠けても、スッキリとした排便はできません。
3つの力が全て合わさり、協力して排便しているのです。
自ら便秘を引き起こしている可能性
排便に必要な3つの力のうち、便の感知力と共腸力は体の反射なので自ら起こしたり止めたりすることはできません。しかし、便を出す際の排出力だけはコントロールする事ができます。
排便反射は長続きしません。出先だから。今止められない用事があるから。あと少し仕事をしてから…と先延ばしにしているといつの間にか便意が消えてしまい、その後トイレに入って便意をいくら呼んでも帰ってこない…なんて事になってしまうのです。
しかし私達は赤ちゃんのようにいつでもどこでも排泄できるわけではありません。成長の過程で適切な時間に適切な場所で排便するようにしています。しかし、そうして排出力をコントロールするという事は排便反射を無視している事になり、その結果、排便反射が起こりにくい体になってしまうのです。
排便反射が起きていない時に無理やり排便しようとしても、どうしてもスッキリ出きらず残ってしまいます。きちんと出きらなかった便が腸に残ると、最初は便感知力が働いて、気持ち悪さや残便感を感じます。しかし常に腸内に出残り便があると便感知力は低下していきます。便感知力が低下すると共腸力も働かない悪循環に陥り、溜まっている事に鈍感な腸になってしまうのです。
こうして便が溜まっている事に鈍感になり、いつしか便秘という状態になってしまいます。
私達の体に起きているもう一つの便秘
腸活をしてみても、便秘に有効な運動をしても、下剤を使っても解決されない便秘には、私達がまだ知らない体の仕組みなど様々な原因があります。
いくら体に良い食べ物を食べていても、その残りカスが腸に溜まり有害物質になって再吸収されてしまったらなんの意味もありません。努力が全て水の泡です。
便秘を本当に解消したいのであれば、今自分にどんな事が起きているのか、何が必要なのかを知り、必要な対処をすることがとても大切です。
噂話や根拠のない情報に惑わされず、正しい知識を手に入れてください。
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